寛平2年ぶり帰還

 ヨットとマラソンで世界一周する「アースマラソン」に挑戦中の間寛平(61)が4日午前7時45分、福岡市の西福岡マリーナにヨットで到着した。2年ぶりの日本上陸を果たした。途中、前立腺がんが見つかり治療で中断を余儀なくされるなどしたが、陸と海合わせて約4万キロを駆け抜けた。大阪まで残り約620キロを走り、今月21日にゴールする予定で、この日午後には再び走り始めた。

 涙はなかった。逆に出迎える方が泣いていた。ガッツポーズでの第一声は「やった! やりました!!」。妻光代さんや孫たちとの再会を果たし、芸人仲間の熱い出迎えを受けた。気温は5度に満たず、雨が降る寒い朝だったが2500人が集まった。寛平は「卵かけごはんが食べたい。めんたいこ2つ、もちょっとね」と、福岡の名物を織り交ぜる気配りも忘れない余裕を見せた。控えめな喜びで「日本ってあったかい。優しいなあ」と、2年ぶりの日本をかみしめた。

 大阪を出発し、千葉から太平洋へ。米国、大西洋、ユーラシア大陸を横断し、東シナ海を経て福岡に上陸した。「東から出て行って、西から帰ってきた。地球ってほんまに丸い」。自分の足だけで地球を回ってきた実感がこもった言葉だ。

 苦難続きだった。1年前の検査で前立腺がんが見つかり、投薬治療で走り続けたが、4月から約2カ月間中断した。しかし、やめようと思ったことは1度もなかったという。光代さんは日本に連れて帰ることも考えたそうだが、寛平は帰国するつもりはなかった。「死ぬ覚悟で行こうと思った。これは自分の心の中だけで、嫁はんには言うてない」。

 でも、光代さんには感謝しきれない様子だった。「嫁はんには『やっとお前を抱けるな』って言いました。あはは、うそうそ。ほんまは『やっと着いたよ』です。頑張ったなあ、と言ってもらいました。これから嫁はん孝行したい」と照れた。

 残り620キロだが、気を抜けない日々が続く。前立腺がんの治療については、薬を飲む必要はなくなったが、1日50キロ走り続けてきただけに足腰はぼろぼろ。21日に大阪で予定されているゴールに向けて、肉離れや捻挫に注意しながら走るという。

 終始冷静だった寛平だが「(ゴールは)泣きまっせ〜。ほんまにいろんな思い出が出てきますから。恥ずかしいからサングラスかけて走りたい」と号泣宣言し、午後2時、再び走り始めた。